あきしげゆ~田園にぽつんと佇むレトロな温泉
あきしげゆ~田園にぽつんと佇むレトロな温泉
宮崎県えびの市の田園風景の中にぽつんとたたずむ日帰りの温泉施設です。温泉は全国でも珍しい源泉かけ流しのモール泉で、番頭の看板娘のおばあちゃんと施設内のレトロな雰囲気が魅力的なとても癒される温泉施設です。「あきしげゆ」は2023年に九州八十八湯めぐり登録施設で実施された九州温泉道修行者が選ぶ癒され感謝グランプリでみごと準グランプリにも選ばれています。
「あきしげゆ」は地質調査をおこなったことで噴出した温泉で、当初は自宅用として使っていたところ、周囲の人々の評判が良かったため1998年(平成10年)に一般に開放するために開業したそうです。
田園風景の中で入るレトロな雰囲気の温泉と番頭の茂子ばあちゃんの優しいおもてなしが最高に癒されるおすすめの温泉です。温泉好きの方はぜひ一度足を運んでみてください。定休日は、毎月7日・8日・9日となっていますが、茂子ばあちゃんの病院の関係等で変わる場合もあるので電話で確認してから来た方が良いとのことでした。
施設の紹介
施設の外観
周囲の景観に溶け込むようなデザインの木造平屋建ての建物です。以前は裏手にグラウンドゴルフ場も併設されていたそうですが、ご主人が亡くなってからはグラウンドの管理ができず今は使用していないとのことでした。
施設の手前は広々とした田園地帯なので、比較的遠くからでも建物を確認することができます。
施設の内観
施設へ入るとすぐに番台があり料金を払います。料金にはこだわりがあるようで、「入場料」として支払い、温泉は無料ということです。なので温泉には休憩しながら何度でも入ることができます。女将の茂子ばあちゃんも「弁当持ってきてゆっくりしていきない」といつも言ってくれます。
施設の中には広々とした休憩所があり、食べ物や飲み物の持ち込みも自由なので、温泉に入った後はここでゆっくり休憩できます。「あきしげゆ」の温泉は休憩をはさんで二度入ると良い効果が得られるそうです。
内装は木のぬくもりを感じる造りで、レトロ感たっぷりです。建物はだいぶ古くなっていますが、きれいに掃除してあり清潔感があります。
写真はお風呂への入り口で、左手が男湯、右手が女湯です。
脱衣所
脱衣所にはトイレと洗面台に着替えを置く棚とカギ付きのロッカーもあります。白っぽいロッカーと壁や錆の茶色に着替えカゴのピンクのコントラストが写真にするとレトロ感のあるいい雰囲気に映ります。脱衣所もきれいに掃除がしてあり清潔感があります。
温泉の紹介
内風呂
内風呂はタイルと木で造られたシンプルなデザインです。大きな窓があり明るく、天井部分は風通しを良くしてあるので、水滴がついてカビが生えたりすることなくきれいな状態です。
浴槽はタイル張りで、ヘリの部分にヒノキが貼ってあり、全体的に木のぬくもりを感じ落ち着けるデザインです。
浴槽は真ん中で仕切られていて、写真の奥側は源泉が出ている温かめの浴槽で、手前はぬるめのお湯です。
洗い場のカランやシャワーは水もお湯もほとんど出ないので、使用はあきらめてください。体を洗った後は湯船のお湯を使うか、きれいなお湯で流したい方は、露天風呂の湯口から直接源泉のお湯を汲み取ってかけてください。
露天風呂
露天風呂はプラスチック製の桶にドボンと浸かるワイルドな露天風呂です。写真の右手が源泉かけ流しの温泉、左手は井戸水の水風呂となっています。源泉はあまり高温ではありませんが、桶が小さいので、冬場でも冷めることなく温かく入れます。
桶のヘリに腕と足をかけてドボンと浸かると最高に気分がいいです。辺りは自然そのものなので開放感も抜群です。「あきしげゆ」は泉質がとても良くおすすめなのですが、この露天風呂のワイルドな開放感もおすすめです!!
※桶はひとつしかないので、他にお客さんがいる場合は、長風呂せずに譲り合いの気持ちで入浴しましょう。
夏場の日差しが強い時は、脱衣所に麦わら帽子が準備してありますので利用してください。
※オシャレだからといって外に持ち出さないようお願いします(笑)
温泉の特徴
ヌルヌルスベスベの美人の湯
「あきしげゆ」は宮崎県では珍しい源泉かけ流しのモール泉です。モール泉とは、植物が堆積した地層を通って湧き出る温泉で、自然由来の有機物が多く含まれ「美人の湯」とも称されています。モール泉は北海道が有名で、原住民のアイヌの人々の間では「薬の沼」と呼ばれていたそうです。
「あきしげゆ」のお湯は、モール泉特有の黄色味がかった透明色で、軽いモール臭や微硫黄臭があり、なめると甘味とたまご味を感じます。肌ざわりはヌルヌルスベスベしていて、ゆっくり時間をかけて浸かると肌がツルツルになります。飲泉もできます。
モール泉の泉質には定義がないため効能を明言することができません。現在の温泉法による分類では「あきしげゆ」は、「アルカリ性単純温泉」に分類され、神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進などの効能があります。
また、お湯をよく見ると小さな気泡がたくさん見えます。お湯に溶け込んだ炭酸イオン(CO3)の影響で、肌ざわりがヌルヌルスベスベするのもこのためだそうです。と温泉に詳しいお客さんが言っていたそうです。
入浴上の注意
温泉に入る際に注意する点が一つあります。男湯は外から丸見えです(笑)
外の目隠しが低いため、立ち上がると脱衣所、内風呂、露天風呂全て丸見えになります。女風呂の方は外側に道路や建物がなく、木などで覆われているため大丈夫です。男風呂は駐車場側にあるので丸見えとなりますが、これも愛嬌として受け止めてください。
夏場は、露天風呂の横にある大きな木の葉が生い茂るので見えにくくなります。(笑)
あきしげゆの魅力
番頭の茂子ばあちゃん
あきしげゆの看板娘の「茂子ばあちゃん」(自称二十歳)がとても優しいおもてなしをしてくれます。以前は来られるお客様に三つ指をついて出迎えてくれていたそうです。現在は足腰が少し弱くなってあまり動けなくなったそうですが、優しいおもてなしに変わりはありません。茂子ばあちゃんとの会話もこの「あきしげゆ」の楽しみのひとつです。帰る時は、車が見えなくなるまで番台の窓からずっと見送ってくれます。
「あきしげゆ」の名前の由来は、ご主人の秋光さん(故人)と茂子さんのそれぞれの名前をとって「あきしげ湯」としたとそうです。
ご主人の秋光さんは、霧島山の自然を守る活動に尽力した方です。
泉質・雰囲気共にとても良い「あきしげゆ」の今後が懸念されますが、茂子さんにお伺いしたところ、娘婿夫婦が跡を継いでくれるということでしたので少し安心しました。
手書きの張り紙
施設内には温泉の案内や注意事項を手書きしたものが貼られています。みんなが楽しく安全に温泉を楽しむための心配りがしてあり、手書きなので温かみを感じます。
九州温泉道「癒され感謝グランプリ」準グランプリ
九州八十八湯めぐり登録施設(133か所)を対象に温泉施設に対する感謝の気持ちや温泉に癒されたエピソードなどの声を募集し、最もたくさんの思いが届いた温泉施設を表彰する「九州温泉道修行者が選ぶ癒され感謝グランプリ」が実施されました。2023年9月26日~同12月26日まで投票がおこなわれた結果、あきしげゆが準グランプリとなり、2024年1月19日に表彰されました。
<癒され感謝エピソードの一部抜粋>
「広い休憩処でテーブルを囲みシゲ子おばぁちゃんのウィットに富んだ語らいに大笑いしたり、ごろんと寝そべったりしながら時間を忘れて心身ともに寛ぐことができました。シゲ子おばぁちゃんの話は面白くって仕事や日常を忘れさせてくれます」
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施設の概要
営業時間:10:00~16:00(受付は15時まで)
定 休 日:毎月7日・8日・9日
入 場 料:入浴大人500円、3歳~小学生300円
住 所:宮崎県えびの市大字浦146
電 話:0984-37-1171
駐 車 場:有(施設の前に20台ほど)
アクセス
田園の中にぽつんと佇む「あきしげゆ」はややわかりにくいところにあるので、カーナビや地図アプリ等を使って行くことをおすすめします。
九州自動車道えびのインターチェンジから約6km、車で約10分ほどの場所にあります。位置的にはえびのJCT付近、陸上自衛隊の霧島演習場の手前辺りです。途中看板がいくつか設置されていますので、見落とさないようにご注意ください。