宮崎の伝統民芸品「南男猿」の紹介
宮崎の伝統民芸品「南男猿」の紹介
南男猿とは、ソテツの実を猿の顔に見立てて作ったキーホルダーで、「南男さる」と「難を去る」をかけた縁起物として古くから親しまれている宮崎の伝統民芸品です。
70年ほど前に「宮崎観光の父」岩切章太郎氏が宮崎に自生していたソテツの実の活用方法として考案されたものだそうです。当時は観光客への粗品として配るなど、宮崎観光を代表する人気の観光土産品としてして多くの観光客に喜んでもらっていたようです。現在では、ハンカチ・Tシャツなどのいろいろな商品としても親しまれていますが、キーホルダーとしての「南男猿」は、時代の流れとともにその魅力が薄れ、南男猿づくりの職人さんもいなくなり、お土産売り場からなくなる危機にあるようです。
持っているときに鈴が鳴ったら、ちょっぴり幸福が訪れた時♪
縁起物としての逸話
「南男猿」には縁起物としてさまざまな逸話もあるそうです。
ある日、車が大破するほどの大きな交通事故が起きたそうですが、幸いなことにその方は大した怪我もなく無事に家まで帰り着いたところ、いつも玄関に飾ってあった南男猿の皮がむけて壊れていたそうです。
その他にも、階段から落ちた学生が、身に着けていた南男猿は粉々に砕けてしまったが、自自分自身は全く無事だったなど、多くの逸話が残っているそうです。
これらの話が南男猿のお陰によるものかどうかは分かりませんが、以前は入学した小学生のランドセルに付けて交通安全のお守りとして利用されていたり、古くから”難を去る”縁起物として親しまれている宮崎の伝統民芸品です。(ちなみに、「南男猿」はよく厄除けのお守りとして紹介されることが多いのですが、神社の神職の方の祈祷(御霊入れ)によって神様の力が込められた「お守り」とは違い、あくまで厄除けの「縁起物」だそうです。「青島神社宮司のお話し」)
南男猿ができるまで
そんな縁起物の「南男猿」は、作業工程の一つひとつが丁寧な手作業によってできています。
行程①(実の選定・洗浄・乾燥)
原材料として仕入れたソテツの実は、汚れがひどく、虫が付いていたりするので、まずは使える実と使えない実を選別し洗浄・乾燥させます。
行程②(面作り・穴あけ・掻き出し)
顔となる部分を削り出し平らにします(後で顔シールを貼ります)。次に、左右に穴をあけ半分ほど切り込みを入れて中の実を全て掻き出し、再び洗浄します。
行程③(鈴入れ・紐通し)
横にあけた穴から鈴を押し込み、ひもを通します。この鈴入れの作業がかなりの力作業となり、とても大変なのだそうです。
行程⑤(顔シール貼り・ニス塗り2回・乾燥)
最後に顔となる部分に顔シールを貼り、ニスを塗って乾かす作業を2度繰り返し完成です。
南男猿のバリエーション
縁起物のキーホルダーとして古くから親しまれている「南男猿」ですが、キーホルダーだけでなく、いろんな形で売られています。
南男猿Tシャツ
地元のデザイナーさんとのコラボでできたTシャツ。こちらに登場する猿は「南男猿(難を去る)」と「黒男猿(苦労を去る」)の2種類。南男猿(なんをさる)は「日昇る」、黒男猿(くろをさる)は「月満る」のデザインです。
南男猿のハンカチ
おしゃれなデニム刺繍のハンカチ。クールなデニム調カラーで、男女兼用で使えるデザイン、ポケットやバッグに入れて持ち運びしやすいサイズ感です。素材は綿100%で柔らかな肌触り。
南男猿の飴
南男猿の顔が描かれた金太郎飴式のご当地キャンディ。味はマンゴーとイチゴミルクの2種類。パーッケージは南男猿を神主に見立てた厄除け縁起物のお守り風。ただ、現在は終売となっているようです。
南男猿のガチャガチャ
カプセル内に南男猿のキーホルダーとおみくじが入ったご当地ガチャ。
なんでも「凶」が入っている割合がかなり高いとか。しかし、凶が出ても安心。カプセルに入っている南男猿で「難を去る」のだそうです(笑)
おみくじのコメントが秀逸!凶が出ても安心できるようなユニークなコメントとなっているのに加えて、「ラッキーアイテム」でさらにもう一つの購買を促すところあたり抜かりがない(笑)
こちらも現在は設置されてないようだが、是非復活してほしい。
南男猿が買える場所
以前は県内のいたるところで購入できていたみたいですが、現在はかなり限られた場所でしか購入できないようです。インターネット上では、たまにオークションやメルカリなどで個人売買されているようですが、通販は行われていません。購入したい方はぜひ宮崎へお越しください。また、宮崎へ来られた方はぜひ「南男猿」を購入してみてください。 持っているときに鈴が鳴ったら、ちょっぴり幸福が訪れた時だとか